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「排出権」販売が黒字化に寄与

 2013年の同社のEV販売は2万2477台。本当に年50万台ものEVが売れるのか。巨額投資は回収できるのか。「小さく生んで大きく育てる」という自動車業界の常識からは懸け離れた投資規模に、懐疑的な目を向ける向きもある。だが、自動車業界関係者は「テスラには隠れた勝算がある」と指摘する。それは、米国で導入された、ある規制の活用だ。

 米カリフォルニア州は自動車メーカーに、販売台数の一定割合をEVなど排ガスゼロの車(ZEV)とするよう義務付けている。基準未達のメーカーは罰金を払うか、超過で達成するメーカーから「ZEV排出権」を購入しなければならない。2013年までは販売台数の12%が基準で、その最大の恩恵を受けているのが100%EVのテスラ。このいわば副収入が、テスラの収益下支えと巨額投資の回収に寄与するというのだ。

 既に実績がある。同社は2013年上期に約1億1900万ドル(約120億円)のZEV排出権を販売し、収益源の一つとして半期で初の黒字化に寄与した。ちなみにEV「リーフ」を販売する日産は、ガソリン車も販売するため2013年4~10月末までのZEV排出権の収入は1300万ドル(約13億円)だった。

 カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)が公表した報告書によれば、テスラは2013年9月末までの1年間に最多のZEV排出権を販売した。排ガスゼロの車が少ない米ゼネラル・モーターズ(GM)や米クライスラー、ホンダなどはZEV排出権の購入側で、収益のマイナス要因になっている。

 テスラの電池工場の稼働が2017年というのも大きな意味を持つ。

 ZEVは2017年以降、急速に基準が厳しくなり、ZEV排出権の需要が急増する見通し。自動車関係者は「テスラには年間で1000億~5000億円の排出権販売収入を得る可能性がある」と見る。それを原資にEVの価格を抑え、販売を伸ばして、さらに投資をするという好循環を見据えているようだ。

 しかも、テスラにとってさらに追い風なのが、同年からトヨタ自動車の「プリウス」などHV(ハイブリッド車)がZEVの対象から外されることだ。トヨタはZEV排出権販売で2位だが、HVはガソリンエンジンを併用しており、排ガスゼロでないという理由だ。

 ニューヨークやメリーランドなど全米各州でもカリフォルニア州に倣ったZEV規制を始める予定。このままでは大市場の米国で、次世代エコカーの一人勝ちをテスラに許す可能性もある。

(注:2013年9月末までの1年間
出所:米カリフォルニア州大気資源委員会)

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