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投稿コメント一覧 (27コメント)

  • ≪境界線≫

    全ての事に意味を成さなくなった

    自分の為だと繰りかえされる言葉に
    与えられる事を
    唯、熟すだけの日々
    僕の心は枯れていく

    自らが望む望まない
    そんな事を考えたのは
    初めの一時

    拒否を示す僕に
    「お前の為だから」
    その言葉が僕を縛り始める

    僕の中から
    「NO」の言葉が消え
    「YES」の言葉のみに

    感情の薄い僕
    誰からも認識されない世界
    モノクロの世界に
    ポツリと色を添えた君
    夏の暑い日の彼の一言
    「楽しいか?」
    楽しいと思う心さえ無くした僕に
    何が楽しいかも解らなくなった僕に
    「いつも、つまらなさそうだな」

    見上げた視線の先に
    色鮮やかに輝く彼
    僕の止まったままの時計が
    カチッと音を立てた

    「楽しむってなに?」
    「俺と行こう」

    僕の腕を取り駆け出した
    夏の光の中

    声を出し笑う事を
    疑問を投げかける事も
    拒否をする勇気も
    彼と過ごす日々が
    僕を人間に戻してくれた

    明るい陽射しが
    緩やかになる頃
    彼の後ろ姿を眺めていた

    彼は明るい陽射しの中
    僕は憂いを含んだ重い雲の下

    夏と秋の境界線の様に
    僕と彼の隙間

    HIROKI
    *********************

    台風が通り過ぎ冷たい風になりました。肌寒いです。そろそろ秋のコート出さないといけないですね。
    今回と前回とで『夏と秋のはざま』をイメージして書いてみたんです。
    中々に難しいと・・・・。
    彼との鮮やかな色の景色が
    消えた今
    全ての事に意味を成さなくなった

  • ≪振り返って≫

    ジリジリと暑い陽射しに
    頑張れと追い立てられ
    前を向いていた視線は
    いつの間にか
    溶けそうなアスファルトを
    踏み締め足先ばかり眺めてる

    木陰に身を寄せた体は
    空を見上げ溜息を零す
    ソフトクリームのような夏の雲
    「早くウロコ雲にならへんやろか」
    消え入る様な弱音に
    苦笑いを浮かべ
    熱気を含んだ風に煽られ
    否応なく一歩を光の中に踏み出す。

    頑張れ!頑張れ!と声援のような
    暑い陽射しに負けまいと
    負けん気ばかり強い僕は駈け出す。
    「夏や、暑のは当たり前や」
    負け惜しみの声も呟きに
    木陰から直ぐに追い出されるなら
    光の中を頑張ろうと。
    いつしか木陰に
    柔らかい風が舞う頃が来たのも忘れ
    がむしゃらに太陽に挑む。

    ほんの少しでも振り返れば
    ほんの少しでも周りを
    見る余裕があれば
    気がついたははず
    優しく包む秋の風が癒してくれる
    夏と秋が同居する場所
    ホッと強張った体を癒してくれる
    心地良い空間に

    厳しかった風が
    ほんの少し優しくなっているのに


    ************
    ご無沙汰しています。
    暑さの中に秋の気配が感じられます。夏のバテた体が休息を欲しがってぼんやりと魂が抜けていく気分を味わっています。

  • 夏の昼時、木陰のベンチ
    微かに頬を撫ぜる風もまた熱気を含み
    涼しさの欠片を運ぶことを忘れてる
    幼き子の笑い声
    夏の暑い日差しさえも味方につけ
    疲れを忘れ跳ね回る

    聞きなれない数オクターブ高そうな声に
    眉を寄せてしまう
    わが身にもあの頃があっただろうに
    年を重ねるごとに違和感を拭えない

    これまでも、これからも
    我が血の繋がりを持たない我が身に
    幼き子を抱くことはないだろうに

    それでも、血に組み込まれた輪廻は
    我が血を受け継ぐものを欲するのだろう

    夕暮れの公園、幼き子を呼ぶ守りし者の声に
    嬉しさを体すべてに宿し駈けていく

    ベンチに一人取り残された感に
    寂しささえも感じる
    血を繋ぐ者を宿す 神に祝福されし者
    そこからはみだした自分

    神に背く行為
    だが後悔の欠片も持ち合わせない自分が
    哀れなのか、滑稽なのか

    ただ、ひたすら一つの愛を求める
    やはり滑稽だと
    笑みを零してしまう

    街灯の明かりが闇に優しさの空間を作る頃
    公園にはまた幼き子の感嘆と歓喜に満たされる
    色とりどりに白き煙を吐き出し
    闇夜を虹色の世界に

    夏だからこそ見れるこの景色
    自分の手にも握られた花火

    駈けてきた幼子からの贈り物

    一人楽しむのも良いかもしれない

    HIROKI
    *******************

    夏バテしてないですか?僕は、昨日大阪に帰ってきてエアコンにへばりついてます。

  • ショクパンさん、つきなみさん、ご無沙汰してます。

    やっと仕事に復帰しました。少しバタバタしていて。ここにもあまり顔だせへんかも。

    まずは、報告まで。励ましてもらったこと感謝してます。これからも頑張ります。

    HIROKI

  • 少年の目の前に大きな虹が大空へと伸びていきます。
    びっくりして動けない少年の手をそっと引き
    「虹のお散歩を私といかがですか?」
    初めて青年に話しかけた時の少年の言葉の様に青年は少年に微笑みました。
    「ありがとうございます。」
    不思議出来事なのに、青年と手を取り虹を渡っていきます。
    「もうすぐ、弟さんに会えますよ」
    その言葉に僕は嬉しさのあまり、青年に抱きつき
    「ありがとう」
    と何度も繰り返し泣いていました。
    白いカーテンが揺れる窓、ベットに力無く眠る弟の姿を見え、駆け出していました。
    自分の半身である弟の額に口付け、窓を振り返り、青年に御礼を言おうとしましたが、もうそこには虹も青年もいませんでした。
    少年は深く頭を下げ必ず弟を助けますと青年に誓います。
    突然現れた少年に皆が驚きました。ベットに寝ているはずの少年が目の前に現れたのですから。
    その後は、もちろん少年の骨髄は弟を助け、弟の顔に昔の様に花が開くような笑顔を取り戻せた事は言うまでもありません。
    少年二人は自分達の半身を抱きしめ合うことができました。
    少年は不思議な虹の絵描きさんの話を弟に語ります。

    そして、この広い青空に虹がかかると青年が少年の手を引いてくれた様に誰かと手を繋ぎ虹の散歩をしている様に思えました。

  • 僕よりも年上の青年なのに、無邪気に笑う姿を弟に重ねていたのかもしれない。時間があると公園に出向き、青年とひと時語らうのが楽しみになっていました。
    そんなある日、僕の所に一通の手紙が届きました。
    それは、見知らむ町の見知らぬ病院から。
    書かれていた内容に僕の心は壊れそうな程震え、涙がボロボロ溢れていきます。弟が白血病で骨髄移植を必要としていると。僕に適合検査して欲しい旨書かれていました。
    今すぐにでも会いに行きたい。弟のいる町は随分と遠く、今の僕にはすぐに会いに行けるお金がなかった。
    きっと僕なら助けられると、それなのに……僕に鳥のように羽があれば今すぐにでも会いに行けるのに。
    ひとりぼっちの僕にはお金を借りれる友人も知人もいなかった。もっと心を閉ざさず相談できる友を作っていれば良かった。自分自身の愚かさのせいで、大切な弟を助けられない。
    「どうしたのですか?」
    いつものベンチで項垂れる僕を見た青年が微笑みかけてくれます。
    「弟が僕を呼んでいるのに会いに行けない」
    それだけ呟くと止まらない涙を手で顔を覆い隠し青年にごめんなさいとみっともない姿を見せた事を謝ります。
    青年は、大丈夫ですよと背中を撫ぜてくれ、僕は少し笑うことが出来た。
    僕は青年と別れ、僅かな貯金やら会社やら集められるお金を集めました。でも、全然足らないのです。
    それでも、僕は、歩いてでも会いに行こうと荷造りを始めました。
    その頃、青年は白い鳩に
    「少年の弟さんは大丈夫かな?」
    と話しかけます。
    白い鳩は喉を鳴らすと大空に飛び立ちました。
    少年は、荷物を背中に背負い公園の青年にお別れを言いに行きました。
    「絵描きさん、僕は今から弟に会いに行きます。僕に勇気をくれてありがとう」
    青年は、少年の手を取り
    「一緒に行きましょう」
    と、キャンパスに描かれた大きな虹をひと撫でして空に手をかざしました。

  • 母のお腹にいる時からずっと一緒だった僕達が初めて離れ離れになった、7歳の夏から何度目の夏を迎えただろうか。
    母は、20歳になるのを待ち僕を捨てた。弟は父と仲良くやっているだろうか?
    小さな新聞社に就職する事が出来た僕だが、一人が食べていくのがやっとな生活だった。
    それでも、早く弟を迎えに行きたくて休み無く働いた。たまの休みには近くの公園でボンヤリと昔の事を思い出していた。
    「あっ、しまった!」
    僕の隣で慌てた声がして振り向くと
    一人の青年が地面に落ちたソフトクリームを恨めしそうに眺めていた。
    「落ちてしまったのですか?残念ですね」
    僕は、弟と別れた日の光景を思い出していた。
    そっとベンチを離れ、公園の隅の店でソフトクリームを二つ買い
    「お一ついかがですか?」
    一つを青年に差し出すと青年は、驚き、そして弟のように花が開くように笑った。
    「ありがとうございます。わざわざ買ってきてくださったのですか?」
    「僕も食べたかったんですよ」
    気にしないでくださいと僕も微笑んだ。
    「今日も熱い日になりそうですね」
    「一雨来ると涼しくなるでしょうか?」
    「そうですね。あちらの雲が少しだけ雨を連れてきますよ」
    「少しだけですか?それは、さみしい」
    「大丈夫です、その後にとても綺麗な虹が姿を現しますから」
    「それは、楽しみです。今日は虹を見て帰ることにします」
    庭に水を撒く時にできる小さな虹がに大喜びしていた弟を思い出して
    「弟が虹が大好きでした」
    ぼそりと独り言のように呟いた言葉に
    「そうですか、私も大好きです。虹の絵描きですから」
    僕は、聞き慣れない虹の絵描きと言う青年を不思議そうに眺めると
    「虹しか書けないんですよ。虹に心も体も捕らわれてしまったみたいです」
    そう言って笑う青年の前に置かれたキャンパスを覗いた僕は、その素晴らしい虹に溜め息が溢れ
    「素敵ですね、絵から虹が飛び出していきそうです。輝いて雨の雫が虹の中で光り輝いているようです」
    うっとりと眺める僕を嬉しそうに青年は眺めていました。

  • 僕は、何故?と母を見上げた。
    僕の顔を見た母は泣いていた。
    「ごめんね」
    あちら側のホームでは、父に抱っこをされ笑っている弟がいた。
    良かった、笑っている。同じ日に生まれた僕達だけど、弟は無邪気に笑っている。さよならの時が来たのだと知らずに。
    「ママ、僕は大丈夫だから」
    ホームに電車が入ってきた。向こうの電車の窓に張り付き泣き叫ぶ弟がいた。声は聞こえないけど、その唇は確かに僕を呼んでいる。僕も窓に張り付き弟を呼んだ。
    大人になれば会えるだろうか?

  • 《七色の絵描きさん 2》

    蝉がうるさく額に汗が流れ道行く大人たちは、この暑さはうんざりだという顔で、僕たちの横をすり抜けていく。
    自分たちが住む町の小さな駅、僕たちは一つのソフトクリームを二人で交互に舐め合い、美味しいねと笑っていた。まるで鏡に映したようなそっくりの僕たち。
    今日は、両親と一緒に食事をしたのだ。家族で外食をするのは久しぶりで、両親の久しぶりに見る優しいほほえみに僕たちは凄くはしゃいでいた。
    父が露店のソフトクリームを両手に持ち僕たちに渡してくれ
    「お前たち、少しそのベンチで待っていなさい。すぐに戻るから」
    僕たちは、はいと頷き、ソフトクリームに笑みをこぼしていた。
    僕たちの前を風船がふわりと飛んでいく。
    「あっ!風船......」
    風船に見とれていた手からソフトクリームがぼとりと地面を白くしていきます。
    「あっ!僕のソフトクリームが.....」
    泣きそうになる男の子をもう一人が
    「これを一緒に食べようね」
    「うん」
    少し甘えん坊の弟、僕はお兄ちゃんだから、弟が泣かないように笑っていられるようにしたいと頑張っている。
    でも、時々寂しくなる。僕の事は誰が心配してくれるんだろうと。
    ソフトクリームがなくなり、弟は僕の手をギュッと握ってきた。顔は父が歩いて行った方向に向いたままに。
    中々帰って来ない両親に段々と不安になって、涙が滲んできたけど、僕よりも先に隣で弟がグスグスと泣き始めたから僕の涙は風に飛ばされて行った。
    「大丈夫、もうすぐ帰って来るから。お兄ちゃんがいるだろ」
    「うん、僕お兄ちゃんがいれば大丈夫」
    涙の流れる顔で一生懸命笑おうとする弟が、僕は愛しい。偉いなと頭を撫ぜてあげると花が開くように。
    暫くすると両親は帰ってきた。でも、僕たちは父と母の其々に手を繋がれあちらとこちらの違うホームにいた。

  • 『ハナミズキ』

    黒い列が蟻の行進の様に流れて
    建物に吸い込まれていく
    僕もその蟻の一匹
    何の思いも無く重い足を引きずる
    前を行く蟻がいなくなり
    視界に白い花が広がる
    花に埋もれる様に眠るのは
    見たくない、何も感じたくない
    逃げる様に背を向ける

    思い出したくない記憶
    スライドショーを見ているかのように
    流れていく悲しい記憶
    愛されない幼子の記憶
    去りゆく背、拒絶する背
    あの人との記憶はピリオドを打つ

    ピリオドを打った記憶に次はない

    目の前の全てに蓋をする
    見ない、記憶しない

    肩を抱く恋人の暖かさに
    あの人の温もりを求めてた
    あの人の優しく紡ぐ声を待っていた
    僕の心は震える、愛を求めた愚かしさに

    天に召されたあの人に
    悲しみは湧かない
    苦しみも、もう湧かない

    ただ、知って欲しかった

    僕は、愛していたと
    愛されたかったと

    僕には幸せにできなかった
    苦しみしかあげられなかった
    ごめんなさい

    幸せになれて良かったと

    ハナミズキをあの人の側に
    僕の無言の思い
    最初で最後の贈り物

    *****
    ハナミズキの花言葉
    私の想いを受けてください

  • 青年の前から少女も虹も消えていました。窓から身を乗り出し少女をさがします。そこには見慣れた街が広がっているだけでした。
    ぼんやりと外を眺める青年に妻は
    「お家にお電話してみたら、気になるのでしょ」
    青年は妻の笑顔に励まされ、電話をかけ、少女の事を尋ねます。
    少女は、もう数日の命だと告げられ止めどなく流れる涙を拭うことも忘れ、泣き続けていました。
    「あなた、そんなに泣いたらあの子が悲しむわよ。笑顔を見せてあげなきゃ」
    そういう妻も涙の溢れる笑顔です。
    二人は腕の中で安らかに眠る幼子が少女の様に優しい娘に育ちますようにと願いました。

    少女は、病室のベットで安らかな寝顔をしていました。
    青年は、そっと病室を出ていき、ソファに座り待っていた老人に会釈をして帰って行きました。
    老人は病室に戻り、幸せに満ちた寝顔にありがとうございますと泣き崩れてしまいました。

    青年は、また何処かで虹を描いています。彼は、虹の絵描き、七色の絵描きさんですから。

  • 少女の体は昔の元気な頃の姿に、ベットから足を下ろし青年の手を取りました。
    二人が歩く先、虹はドンドン伸びていきます。
    下を見下ろした少女は嬉しそうに
    「あら、電車が走っているわ。線路が何処までも続いているみたいね。まるで、終わりがないように。必ず終わりはあるのにね」
    絵描きの青年は、そうですねと微笑み
    「終わりのないものなどないでしょうけど、終わりは始まりでもあります。貴方も今から始まるのですよ」
    地上の世界だけが全てではないですよと空を見上げ囁きます。
    いつの間にか虹は一つの小さな窓にたどり着いていました。
    「貴方の大切な人がそこにいますよ。勇気を出して」
    「ありがとう、絵描きさん」
    少女は、青年と小さな命を抱きしめる優しげな女性の前にトンと足を踏ま出しました。
    驚く青年に幸せな笑顔で
    「久しぶりね。元気な顔が見れて嬉しいわ。隣の方が奧さん?子供は男の子?女の子?」
    子供の顔を見ていい?と首を傾げる姿が妹の頃のままで、優しい声でいいよと言っていた。
    女性が腕の中の宝物をそっと少女の前に、女の子よと微笑んでくれている。
    「兄さんと幸せになってね」
    少女は、そう呟くと幸せそうに微笑んだ。
    「兄さん、素敵な家族だわ。私も幸せ、兄さんが幸せで。大切にしてあげて」
    青年は、少女を一人にした事をとても気にしてました。だから、少女はそれがとても心残りで、どうしても伝えたかった。
    私は、貴方に妹として沢山の思い出と愛を貰って幸せだと。だから、謝る必要などないのだと。
    「じゃ、さよなら」

  • それから一つの季節が過ぎ去った頃、年老いた老人が青年の所にやって来た。
    「突然、申し訳ないが貴方は虹の絵描きさんかい?」
    不思議そうに、それでも柔かな笑顔で
    「はい、そうです。貴方は?」
    「私は、よくここに来ていた娘の祖父です」
    「あゝ、お嬢さんはお元気ですか?」
    老人は悲しげに俯くと
    「孫は病院にいます」
    そして、顔を上げ意を決したように
    「迷惑は承知の上で、孫に会ってもらえないですか?」
    青年が不思議そうに首を傾げ
    「重い病気ですか?」
    「はい、よく貴方との話を嬉しそうに話すので、あんな悲しげな顔で逝ってほしくないと、年寄りの我儘です」
    青年は、老人の手を取り微笑みかけると
    「行きましょうか、連れて行ってくれますか?」
    老人は自分の手を取ってくれた青年に涙を流し頭を下げた。
    連れられて来た病院は、町の外れにひっそりと立つ小さな病院でした。
    青年は病室の前で
    「二人だけでお話してもいいですか?」
    老人が頷き廊下を歩いて去って行く姿を見えなくなるまで眺めていた。
    「入りますね」
    静かにノックをして病室に入ると、少女は、細っそりと痩せ頼りなげな笑みを見せ
    「絵描きさん、来てくださったの?どうして?」
    「貴方とお散歩をしようと思いまして」
    ふふっと小さく笑った少女は
    「もう、私は動く元気はないわ、ごめんなさい」
    それでも、青年は大丈夫ですよと微笑み、壁に飾られている虹の絵にそっと触れ、窓の方に手をかざした。
    窓が開きカーテンがふわりと踊った窓に七色の綺麗な大きな虹が伸びていきます。
    「さぁ行きましょう、貴方の大切な人に伝えたい言葉を伝えに」
    青年は少女に手を差し伸べ笑いかけます。

  • 少女は、不思議な空気を纏った青年だったわと、思いながら家に帰っていた。そして、青年に語った恋人ではないけど大切な人の事を考えた。彼は、私の事、忘れているかしら?それとも…。

    次の日も青空の綺麗な心地良い風が少女の髪をそよがせていた。
    「お嬢さん、今日も心地良い日ですね」
    あら、いつの間にと思ったが、にっこりと「ほんとに気持ちがいいわ」
    と青年に笑いかけた。
    「今日も虹の絵を描いていたの?」
    「はい、私は虹を描く絵描きですから」
    「虹の絵描きさんなんて面白い事を言うのね」
    「可笑しいですか?でも、あなたの笑顔は素敵です」
    「まぁ、ありがとう」
    頬を少し染め笑う少女は、儚げに見える。
    それから、毎日ほんの少しの時間青年と語らうようになった。
    青年が言うようにいつも描いているのは虹の絵ばかり。
    数日雨が続き、やっと晴れた日、少女は青年に
    「今日はお別れに来たの」
    「もう、ここには来れないのですか?」
    「ごめんなさい。そのお願いがあるのよ」
    少し言い辛そうに少女は
    「虹の絵を一枚頂けないかしら?」
    青年は、クスクスと笑うと
    「いいですよ。一番大きく綺麗な虹を貴方にプレゼントしますよ。その虹に乗って会いに行けるように」
    そんな事は無理だわと思いながらも少女はそうね、行けるかしらと悲しげに空を仰いだ。

  • 《七色の絵描きさん》
    子供達の楽しげな声が聞こえる公園、ベンチに少年と少女が空を見上げていた。
    「綺麗な虹が出たね」
    「うん、綺麗で大きいな」
    少年は少女より四つ程年上で少女の事を妹の様に可愛がっていた。
    無邪気に虹を見上げていた子供の頃、でも、少女も少しづつ大人になり、少年の事を兄ではなく異性として慕うようになっていた。少女の気持ちに気付いた少年は、少女の気持ちは嬉しかったが、どうしても妹としか思えないでいた。
    少年は、高校を卒業し離れた町の大学に行く事を少女に伝えた。
    少女は手紙を書くねと、涙が頬を濡らしながらも笑顔を浮かべて見送った。二人の手紙のやり取りは、少女が高校を卒業しても続いた。
    少女は、地元の大学に進みいつか少年と一緒になる事を夢見ていた。でも、少年からの手紙が一週間に一度になり、一ヶ月に一度になり、そして年賀状が届くだけとなった頃、少女はもう少年はこの町に帰ってこないのだろうと思い始めた。
    とうとう年賀状さえ届かなくなり、少女は少年の事を忘れようと心に決めた。
    よく晴れたある日、少女は少年とよく遊んだ公園のベンチで二人で見上げた空を眺めていた。
    「今日は虹は見れないわね」
    ポツリと独り言を漏らしていた。
    「お嬢さん、虹は此処にあるよ」
    と、いつからそこに居たのか少女より少しばかり年上の青年がキャンパスに虹の絵を描いていた。
    「あら、ホント。綺麗な虹だわ」
    少女は、自分の住む街並みに被さる様に描かれた大きく綺麗な虹の絵を見て微笑んだ。
    「この虹に乗ってあの人の所に行けたらいいのに」
    寂しそうに笑う少女。
    「遠くの町に恋人がいるのかい?」
    「違うわ、恋人ではないけど大切な人」
    「会いには行かないのかな?」
    「そうね、行かないわ。でも、一言伝えたい事があったの」
    「どんな言葉を贈りたかったのかな」
    少女は、悲しそうに笑うと内緒よと囁き、もう帰るわと公園を歩いて行った。
    一人取り残された青年が手を伸ばすとその腕に真っ白の鳩がとまった。
    「彼女の大切な人は何をしているのかな」
    そう鳩に問いかけると鳩は空高く飛び立った。

  • ショクパンさん、つきなみさん お久しぶりです。

    ショクパンさん、息子さんの合格おめでとうございます。
    大学懐かしいなぁと数年前に卒業したばかりなのに遠い昔のような懐かしさを感じています。

    報告が遅れましたが、僕、退院しました。今は通院でリハビリを頑張っています。一人でお散歩もできるようになったんだけど持病のナルコレプシーって言うらしいんやけど、すぐどこでも寝ちゃうから、家で引きこもってます。

    それで、ちょっと物語を書いてみました。
    《七色の絵描きさん》って題名で、パッピーエンドにしたつもりなんやけど、なんや悲しいお話になってしもたんやけど。よろしくです。

  • 足掻き

    窓越しの日差し
    部屋をじわじわと侵略する
    夏の名残の暑さはそのままに
    陽の光は確実に秋を物語る
    横たわる身体を
    夏の陽が焼き尽くすのか
    秋の陽が暖かく包むのか

    残り少なくなった砂時計は
    永遠に尽きる事のないものなど
    ありはしないとサラサラと落ちていく
    虚ろな瞳は差し伸べられる手を
    宙に浮いた腕は絡める指を求め
    熱る体は抱きしめてくれる腕を
    捜し求め続ける

    足掻き続けた僕
    その視線の先に写るものは
    屍を見下ろす冷たい陰なのか
    命を吹き込む暖かい陰なのか

    臆病な僕は瞳を閉じたまま
    未だ足掻き続けてる。


    BY  YUKI

  • ひとつだけ

    楽しい事を
    ひとつだけ見つけた
    悲しい事が
    ひとつだけ消えた

    嬉しい事を
    ひとつだけ見つけた

    辛い事が
    ひとつだけ消えた

    面白い事が
    ひとつだけあった

    泣きたい事が
    ひとつだけ消えた

    僕の心が少しだけ
    救われた

    僕はまだ
    生きていられる

    都会の空に
    流れ星を見た

    願いが叶うだろうか

    僕の願いは
    ひとつだけ

    安らかに眠りたい
    永遠に…

    BY YUKI

  • >>No. 2971

    ショクパンさん、凄く好きですこのお話。終わり方、いいなぁって。こんな魅せ方あるんだって。
    今、僕くらい話しのクライマックスでどんどん気分が下降気味だったけど、急浮上しちゃいました。
    気持ちが落ち着いていい感じ、頑張れそうです。

  • ショクパンさん、僕、YUKIのネームで投稿しちゃった。ヒロキに変えるの忘れてたごめんなさい。

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