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投稿コメント一覧 (707コメント)

  • 『日暮れてこそ』江上剛
    上司のえげつない対応に嫌気がさして、50代で銀行を辞めた主人公池澤。
    ノンフィクションのライターとして、またテレビのコメンテーターとして仕事をしていたが、そこに舞い込んできた若いころに会ったという女性からのメール。
    誰だかは思い当たらないけれども、誘われて出かけていくとかつての同僚で、池澤にあこがれてつきあっていたと思い込んでいると説明する娘とその母。
    2人と関係をもち、仕事も順調かと思われたころから暗雲が立ち込め始める。
    老いを感じ始めた男性の焦りのようなものについて、解説で酒井順子が語っていることになるほどと思いました。
    後半は誰を信じればいいのか主人公と一緒に混乱してきます。

  • 『運転、見合わせ中』畑中智美
    8時15分というラッシュの最中に、電車が止まってしまった。
    その電車に乗り合わせていたために、仕事や大学に遅れてしまう人たち。
    どこか、うまくいっていないところがあったりする登場人物たちが多いのですが、この列車の遅れがなければ出会わなかった人との関係が生まれて、何かしらが変わっていきます。
    そして、飛来物とも人立ち入りとも言われた電車が止まった原因も終わりで明らかになります。
    ういういしさを感じる作品でした。

  • 『クジャクを愛した容疑者』大倉崇裕
    副題は警視庁いきもの係です。
    最近ドラマにもなっていたようです。
    いきもの係に配属になった須藤は、頭に拳銃を弾をうけて、敏腕の一課刑事だったのがいきもの係に配属となっている。
    そして、その係の相棒が薄という女性警官だが、かわいい彼女の制服姿は一緒に歩いていると何度もコスプレと間違われてしまう。
    そして、薄は人間よりも動物に興味があり、やたらいろいろな動植物に詳しいが、日本語はからきしダメで、須藤との会話は漫才のようになってしまう。
    表題作を始め、いくつかあるのですが、ハリネズミを愛した容疑者の一篇が、かつての同僚とのからみがあってほろりとさせられました。

  • 『僕の好きな人が、よく眠れますように』中村航
    大学の研究室の飲み会で、気になった女性。
    すっかり意気投合したつもりで、話をしていると、彼女は結婚していて北海道から1年間勉強に来ていたことがわかる。
    一緒に研究室で実験や準備をして毎日を過ごすうちに、2人は惹かれていく。
    2人のかわす会話がテンポがよくて、小気味よくころがっていく。
    彼のいる女性にどうなるとも思っていなかったのが、お互いがどうしようもなく、ぴったりとはまってしまう。
    それでも月日は確実に過ぎていく中、男性の視点から描かれています。

  • 『背乗り 警視庁公安部外事二課』竹内明
    張っていた人物が、いきなり飛び降り自殺をしてしまう、という衝撃的なプロローグから物語は始まります。
    そして、ニューヨークに舞台を移して、外務大臣がホテルの部屋で重金属による中毒で救急搬送されるが、それらは極秘のうちに処理されます。
    話がスリリングに、いくつかの並行しながら進んでいくので、最初は戸惑うところもありましたが、公安という部署の特殊性含めて面白かったです。
    初めて読んだ作者ですが、また別のものを読んでみたいと思いました。

  • 『10ten』堂場瞬一
    大学ラグビー部の物語です。
    堂場さん本人が高校でラグビー部だったとこのことで、ラグビーの描写が勢いがあって、自分も最近ラグビーの試合をみるので、楽しめました。
    ラグビー部員の人間関係や、監督の姿勢、OBのかかわりなどなるほどと思いながら、読みました。
    最後の試合の展開は息をつめながら、わくわくして読みました。

  • 『白バイガール』佐藤青南
    副題は、幽霊ライダーを追え!。
    女性白バイライダーが主人公。
    最近は女性警察官や白バイをみかけること多くなりましたね。
    殺人事件が起き、その捜査の中に以前バイクレーサーで事故を起こしてから所在がわからなくなっていた人物も絡んでくる。
    白バイの先輩である女性の様子もおかしくて、気になっていると、その先輩とバイクレーサーの過去が明らかになってくる。
    肩がこらずに楽しめる本でした。

  • 『細胞異植』仙川環
    北埼玉の支局に配属になった女性記者。
    この管内で、赤ちゃんポストを作った病院の取材を通して、本社にアピールできないかと考える。
    赤ちゃんポストの意義、中絶胎児の行方など意欲的に取り込まれているのですが、この記者が追う赤ちゃんポストに子どもを連れてきた宏子という女性の話が私にはあまりすんなりつながってこなかった印象でした。

  • 『輝く夜』百田尚樹
    「永遠の0」の次に書かれた作品とのこと。
    読んで希望の持てるものを書きたかったというだけあって、聖夜に起こる奇跡の短編集。
    決して幸せとはいえない女性たちが、希望をもらえる話。
    どの話も涙なくしては読めないような話でした。

  • 『獏の檻』道尾秀介
    幼い頃の辛い記憶が、その後の人生にも影響し、結婚して妻子を得たのに、ある日音が聞こえるようになり仕事にもいけなくなって、家族を失った男性が主人公。
    もう列車に飛び込むしかないと思い詰めていた時に、向かいのホームから幼いころ、失踪して自分の父親に殺されたのではと思われていた女性が転落死するのを見てしまう。
    一体自分の子どもの頃に何があったのかを、別れた息子とともに以前住んでいた土地を尋ねていく。
    水利が悪かったその土地では穴堰というトンネルを掘ることで稲作を行ってきた歴史があった。
    穴堰に興味をもつ男性も同じ時に村を訪ねていて、当時の真実が見えてくる。
    途中に挟まれる話もやや抽象的で不気味さがあります。
    読み進むにつれて、人々のそれぞれの思いが伝わってきます。

  • 『蒼の悔恨』堂場瞬一
    神奈川県警の真崎薫が主人公の小説。
    シリーズの第1作。
    いきなり、犯人にさされた身体の痛みを感じながら登場してきます。
    シリアルキラーに狙われて、たまたま組んだ女性刑事とともに刺されてしまい、スキャンダルを嫌う幹部から休暇をとるように言われてしまう。
    それでも、自分でけりをつけなければと自分の情報屋からさぐりを入れ、また、ともに傷ついた女性刑事である奈津とともに影の薄い犯人を追い求めていきます。
    スリリングな展開で面白かったです。

  • 『優しい音楽』瀬尾まいこ
    短編が3つ。
    最初の1篇は駅で突然じっと女性から見つめられたことから、恋人になった2人の物語。
    最初はストーカーかとも思ったけれど、そんなことはなかった。
    ただ、彼女を家の近くまで送っても、家族にはなかなか会わせてもらえず。
    どの作品も不思議な感覚があるのですが、いずれにしてもほっこりできる物語でした。

  • 『僕は奇跡しか起こせない』田丸久深
    家族ぐるみで仲良くしていた真広は、夏祭りの花火が雨で中止となったよるに、一緒に入った布団の中で10歳で亡くなってしまった。
    25歳になった紗絵は臨時の養護教諭として高校に勤めているが、雨の日だけ真広に会うことができる。
    真広はキセキという存在になって、人がそれとは気づかないままに、奇跡を起こす存在となっていた。
    ファンタジーではあるけれど、幼い頃からの大事な女の子を守ろうとする気持ちと、成長した女性の真広への想いがたくさんつまって伝わってきました。

  • 『署長・田中健一の憂鬱』川崎草志
    先日このシリーズの作品を読んで、一番最初の本を読みたくなりました。
    田中健一は警察のキャリアで、四国の署長として赴任するのですが、もともとがなりゆきで警察キャリアになっただけで、市役所がよかったかなと後悔するような人物。
    唯一の趣味が艦船のプラモデル作り。
    そんな人物なので、ことなかれと思っているのに、何故か重大事件が起こり、プラモデルのことやほかのことを呟いたことを部下の松小路が聞くと、事件解決の重大なヒントになってしまうというハチャメチャです。
    あまりのずれっぷりがとても面白かったです。

  • 『なかよし小鳩組』荻原浩
    比較的初期のころの小説のようです。
    小鳩組とは任侠の人たちなのですが、主人公のアルコールで妻に離婚されたユニバーサル広告社に勤める杉山が主人公で、この会社がなぜかこの小鳩組のCIやイベント、コマーシャル作りを依頼されてしまう。
    登場人物たちの描写がなかなか個性的で、目に浮かぶようなのですが、任侠ということで断ろうとしても許されない状況になり、知恵を絞ります。
    笑いを誘いつつ、はっとさせられたりしながら話は進みます。

  • 『コンビニ・ララバイ』池永陽
    解説を書いている北上次郎という人が、この作家の作品に浅田次郎と重松清を足したようなという表現を使っているのですが、なるほどと読み終わって思うところがあります。
    連作短編で、ミユキマートというチェーンでないコンビニが舞台となっています。
    オーナーの幹郎という人物は、やっと生まれた子供を幼くして亡くし、その後妻は交通事故で亡くなっていた。
    とても熱心に経営しているとはいいがたいものの、人に対して親身に話を聞いたりするところがあって、話はお店のお客さんなどにもわたっていきます。
    登場人物たちはみな、決して恵まれた幸せな状況ではないのですが、心にしみてくる話が多かったです。

  • 『むーさんの自転車』ねじめ正一
    昭和の終わりの東京の高円寺の商店街から物語が始まります。
    主人公は中高一貫の学校に通う少年ですが、実家の和菓子屋が入り婿である父が建築関係の投資に手を出したことから、父は借金から逃れるために姿を消し、母と2人でおにぎりを売ってしばらくしのぎます。
    その和菓子屋にいい米を仕入れて納めていたのが、むーさん。
    重い米を運んでも大丈夫なようにがっちりとした自転車に乗って、回ってきます。
    いよいよ店をとられて、夜逃げという段になった時、むーさんが少年を自分が引き上げる長野で面倒を見ると申し出て、豊科で暮らすことになる。
    むーさんのお母さんの和子さんという人の人柄もひかれるいいものがあります。
    むーさんやむーさんの知り合いとのかかわりの中で、つながっていく人生にほろっとさせられました。

  • 『夜を守る』石田衣良
    アメ横で、たまたま出会った自転車を整列させる男性は、息子を突然そこで刺されて亡くし、まだ犯人が見つかっていなかった。
    大学を出たものの就職はせずに、レンタルビデオのアルバイトをするアポロ、実家の古着屋で働くサモハン、区役所の福祉課で働くヤクショ、そこに施設に入所している天才が加わって、夜にアメ横のごみを拾ったり、自転車の整理をするようになる。
    そんな若者に声がかかって、人とのかかわりから小さな事件や出来事に絡んでいきます。
    グリーンハウスという一篇は終わりに意外な事実が明らかになりますが、結末はほっとできます。

  • 『バンダルの塔』高杉良
    昭和40年代の前半から物語は始まります。
    三井物産を中心に、イラクに石油製品製造のプラントを作ることに力を注ぐ人たちの物語です。
    その中の1社の、最初はそんなことは無理と反対していたのに、会社のエースとして派遣されることになり、気持ちを変えて打ち込む山中という人物を中心に描かれています。
    イラクという日本とは全く違う文化の中で動かない従業員、そしてオイルショックによる建築費の高騰、さらにはイラクの情勢変化など予期せぬ事態が襲います。
    それに翻弄されながらも、日本の意地をかけて取り組んだ人たちに思いを馳せました。

  • 『キケン』有川浩
    キケンの正式名称は、西南電気工科大学機械制御研究部。
    新入生が、部員勧誘のポスターを見ていたところ、後ろから声をかけられるまま、部室へ連れていかれる。
    理系男子99%の大学で、しかも、部長は小学生の頃からの爆発魔として知られ、副部長は大魔神のあだ名。
    それでも、理系男子ならではのとんでもない勢いがいっぱいで、うらやましくなります。
    面白くて一気読みでした。
    最後はほろっとさせられます。
    章の初めに漫画があって、重要な最期の1枚の漫画もあります。

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