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投稿コメント一覧 (779コメント)

  • 『リカ』五十嵐貴久
    この作家のデビュー作を、文庫化するにあたって書き直したものらしいです。
    他の作品は読んだことがありましたが、この本はホラーっぽいところがあって、読んでいてゾクゾクするところがあります。
    会社でそこそこの地位をえて、家族もいるのに、知り合いから聞いた出会い系に興味をもって、メールのやりとりを始めた本間。
    最初はほんの軽い気持ちであったのが、1人の女性に絞って互いにいい感じになってきたと思っていたところが、電話番号を教えたあたりから女性が豹変。
    ストーカーとなって、恐怖に追い詰められていきます。
    こわいものみたさで読みましたが、こんな事態はおそろしくて、想像するだけでドキドキしました。

  • 『スペードの3』朝井リョウ
    最初のスタートが学校内での女生徒の話から始まり、女王様キャラクターだった子が主人公で話が進んでいくのかと思ったら、違っていました。
    つかさ様と呼ばれる女性劇団出身の女優のファンクラブのメンバーはファミリアと呼ばれ、規律正しくファンとして活動している。だったが、新たなメンバーを迎えたことから、さざ波が起こる。
    そして、応援されている側のつかさについても描かれていきます。

    久しぶりの投稿嬉しいです。
    またお待ちしていますね。

  • 『ポスドク』高殿円
    主人公の瓶子という男性は、ポスドクと呼ばれる大学院で博士号をとりながら、非常勤講師をして月収も少ない生活。
    そして、そこに姉が突然現れて、子どもを預けていなくなってしまう。
    この男の子誉くんがやたらできた子で、いいコンビを組んでいます。
    指導教官の不正に巻き込まれて、持っている授業の数も少なくなりそうな危機に舞い込んできたチャンス。
    果たしてこれを生かせるのか?
    瓶子に絡んでくるキャラクターたちもそれぞれ面白い人たちでした。

  • 『店長がいっぱい』山本幸久
    豚肉と卵の他人どんぶりをメインとする友々家が舞台。
    日本だけでなく、海外にある友々家がでてくることもあったり、店長をつとめる人物も、そこで働くバイトも様々。
    本社の若手女性で店舗を担当する霧賀という女性が魅力的に各店舗に関わっていきます。
    母子家庭となった現会長が息子のひとことから他人どんぶりの店を開き、社長となって店舗を増やしてきて、それを継いだ息子がとんでもない社長となり、変な企画をだしては惨敗してしまう。
    最初は嫌な人物としか描かれていない社長も物語が進むについて変化していきます。

  • 『終電の神様』阿川大樹
    終電あるいは終電間際の電車が緊急停止、というシチュエーションでの短編。
    どの話も、最後の方であっと言わせるおちがあったり、しみじみとさせられたり、あるじょせいはよかったよかったと嬉しい涙が浮かんだり、と物語がありました。
    満員電車に乗っている人の様々な人たちをインスタレーションにして展示したというアーティストも登場するのですが、確かに見知らぬ人たちとあれだけ密着して揺られている空間て、と思うと不思議に思うこともありました。
    個人的には、競輪選手の彼をもつ女性の話と、駅の売店で働く女性の話がよかったです。

  • 『孤狼の血』柚月裕子
    今度映画が公開されるらしいです。
    大上という警官は、世の中が平和に収まるためにはある程度統率がとれた暴力団の存在が必要と考えている男。
    暴力団にはいくつもの団体が絡みあっているが、大上は特にある団体に深く入り込んで、刑務所で服役中の組長とも話が通じる仲で会った。
    そんな大上の相棒として若手の日岡が赴任してくる。
    やくざから上前をはねたという潤沢な資金も存分に使って、非合法な捜査も全くいとわない大上に最初は反発をするが、大きな抗争事件になりそうな時に頼りになるのも、また大上だった。
    中盤までは、組関係の争いごとなどが続いてちょっと退屈したのですが、後半に向けて一気に動きが面白くなりました。

  • 『風味さんのカメラ日和』柴田よしき
    田舎をもりたてるために、新しい市長が市民講座を開くことを宣言。
    そして、そのひとつカメラ講座は、友人のおじさんが講師となることになり、風味は人数が足りないと半年で終わってしまうから、と誘われて受講を始める。
    同じカメラで同じ素材をとっても、スライドショーで映し出された映像は、撮った人がこの写真とこの写真は同じとわかるような個性が出るということに、読んでいる私も驚きました。
    写真をとおして、その人が抱える悩みまでもが浮き出てくる。
    写真のことも知ることができ、楽しく読めました。

  • 『スケートボーイ』碧野圭
    M大学の和馬は、1年ぶりにけがから復帰して、最後の4年生のスケートを滑ることを決意する。
    和馬には、同じ監督に教わっていたかつての同級生がおり、そちらはアメリカに渡って全日本で1位を争うような選手となっていた。
    同じくM大学のスポーツ新聞部の将人の目を通しながら、選手のことも伝わってきます。
    フィギャアスケートは羽生君もいて、相当盛り上がっていますが、そこまでには行かない選手たちのスケートにも温かい目が向けられています。

  • 『白バイガール駅伝クライシス』佐藤青南
    以前読んだ白バイガールの続編。
    箱根駅伝を先導することになった神奈川県警の女性白バイ隊員とそこに絡んで選手の妹の誘拐された事件が起きます。
    箱根駅伝のことをもっと知っていると沿道の風景など浮かんできて面白いだろうな、と思いましたが、知らなくてもバイクでの先導がいかに技術のいることなのかなどがわかります。

  • 『デッド・オア・アライブ』楡周平
    コクデンは粉飾決済を行った大手電器会社で、その結果優良企業を手放して、影響が大きいことから倒産こそ免れたものの、息詰まっていた。
    そして、大手自動車のタカバは水素を新たな燃料とした車の推進を進めようとしていたが、水素ステーションの設置には膨大な資金が必要で、普及が進まない。
    イナズミは軽自動車のみのメーカーだが、ハイスペックの新型モデルが売り上げが伸びず、また、市場も国内に限られて今後はこのままでは衰退の一方という状況。
    それぞれの企業の思惑が絡んで、電気自動車がその打開策になるのでは、と気づくが、役員たちは新たなものを受け入れていかないと将来がないのだ、ということに気づかない。
    技術の進歩が産業を全く変えてしまう現代で生き残りをかける企業の人たちの話はとても面白かったです。

  • 『カレイドスコープの箱庭』海堂尊
    東城医大シリーズです。
    再読でしたが、今回海堂作品が、日曜劇場のドラマになるようで、読みました。
    この作品では田口医師が、またタヌキ院長から難題を申しつけられます。
    国際学会の開催と、病院内で起きた医療過誤、診断ミスがあったのではという匿名の手紙の真相を探ります。
    いつもの通り厚労省の白鳥さんが首を突っ込んできて、また、学会関係では田口医師の懐かしい同級生たちも集ってきます。
    おまけに海堂氏の日々をつづったものが掲載されていますが、作家一本となるまでにも講演をこなし、ドラマ化した現場見学に行きつつ、次々と精力的に新しい作品が生み出されていることに驚かされました。

  • 『NO.6 beyond』あさのあつこ
    NO.6という都市が崩壊して、その後の物語。
    シリーズを読み終えて大分時間がたっているので、忘れていた部分もあったのですが、紫苑やネズミ、イヌカシ、力河などの話を読みすすみながら、懐かしく思い出しました。
    また、今まであまり話題にならなかった紫苑の父の話が出てきて、その父親のセリフにぞっとしながらも、人間の本能というものを見せられた気にもなりました。
    離れ離れになりながらも、お互いの存在を常に重く感じている2人の関係をうらやましく思います。

  • 『コンビニ人間』村田沙耶香
    子どもの頃から、周囲の子どもと自分の反応が違うことに気づき、どうしても皆とは違う言動をとっては、親や教師を慌てさせてきた主人公の女性。
    中高時代は、余計なことはしゃべらないことでそんな自分を隠してきた。
    そして、大学生になって迷い込んだ道で発見した新しく作りかけのコンビニでバイトを始めることで、マニュアル通りに自分を枠にはめることで、妙に落ち着きを持つことができ、そのまま30代半ばになるまでアルバイトとしてコンビニで働いている。
    本人はそれで困ることはなかったが、同級生とおしゃべりする中でその年齢まで恋愛も知らず、結婚もせず、その割にコンビニのバイトというのがどうも違うということに気づかされ。
    生きにくさをもちながら、自分に気づけてよかったね、というお話でした。

  • 『ドッグ・メーカー』深町秋生
    副題は警視庁人事一課監察係黒滝誠治です。
    黒滝は、公安から組対にそして、監察係に来た警官ですが、そのやり方はとても警察官とは思えない非合法な手段も使って、狙った相手をまさに、自分の犬として情報をもってこさせるという男。
    組対で大変になりかけた事案を未然に防いだ功績はありながら、自分の情報提供者をその過程で守れなかったことから後輩刑事を痛めつけて左遷させられた。
    そんな黒滝を警察官の不正をただす部署に呼び入れた信念をもった女性幹部がいた。
    黒滝とは別の意味で、職務を通して暴力団とつながって、自分い剤に手を出し落ちてしまった警官とそれを知りながら事件をあげるので見逃してきた組織。
    組織を守ろうとする上の人間もいて、同じ警視庁の刑事からも終われることになり、誰を信用していいかわからない中で、黒滝は身を張ります。
    結構ボリュームある本ですが、テンポあり、面白くて読み進めます。

  • 『ドンナビアンカ』誉田哲也
    先日読了報告をした「ドルチェ」の主人公警視庁練馬署の魚住久江が主人公の物語。
    貧しく恵まれない家庭に育つ男の子の話から始まります。
    やがて成長していく中でも、なかなか仕事にはありつけない中、まじめに働いて少しずつ生活が落ち着いてきた頃であったキャバクラで働く中国人の女性。
    男性の方から描く場面と、身代金誘拐事件が交互に描かれていきます。
    最初は一体、このスタートがどこに行くのだろうと思い、読み始めたのですが、だんだん事件とのつながりが見えてきます。

  • 『遊戯』藤原伊織
    藤原さんの急逝により、完成しなかった連作短編です。
    ひょんなことから知り合った男女を巡る物語。
    その中で少しずつ、この2人の距離も近づいて来て、また、怪しげな感じで周囲に現れる男性がいて、一体結末はどうなっていくんだったのか、気になります。
    別の「オルゴール」という1篇も静かな文章の中に、感情がつめこまれている感じで、よかったです。

  • 『王妃の帰還』柚木麻子
    女子中学校2年生のクラスを舞台にした、人間模様。
    主人公の範子は、クラスの中では目立たないようにしているメンバーと仲良しグループを作っている。
    そこに、姫グループのトップであったひそかに範子が王妃と呼んでいた美しく、またふるまいも尊大な子が失脚して、どこのグループからもはじかれて、範子たちのグループへ。
    そこから巻き起こるまた、別の人間関係や軋轢。
    あとがきにフランス革命の頃の、4つの階層をイメージされているとあり、なるほどと思いました。

  • 『ねこ町駅前商店街日々便り』柴田よしき
    主人公の愛美は東京での結婚生活に破れ、シバデンという電車の終点の故郷に戻ってきた。
    そこで、喫茶店の手伝いをしている。
    根古万知駅という駅前は、商店街もシャッターをおろしている店が多く、父のラーメン屋と喫茶店、スーパーなどいくつかの店が残っているだけ。
    そんなところに、舞い込んできたのが猫のノンちゃん。
    ちょうど駅長がいなくなった駅の1日駅長として紹介されると、それを見にやってくる観光客がいた。
    なんとか、町民にこの町のことをもう1回大事にしてもらえるようにしたい、という思いで愛美やその周りの人々が動き出す。
    日々便りというタイトルどおり、ゆっくり物語も流れていきます。

  • 『小鳥を愛した容疑者』大倉崇裕
    捜査一課で鬼とならした須藤警部補は、頭部に銃撃を受けて、リハビリという名の閑職へと追いやられた。
    もともとその動植物管理係は名前だけの部署だったのだが、そこに本当にかつての一課の仲間から動物がらみの事件を持ち込まれて、普段は警察博物館で保護ペットの対応にあたる薄巡査という若い女性とコンビを組んで、動物がらみの事件を見事解決に導いていく。
    薄巡査は、虫から動物までとにかく知識量が半端ないが、日本語は今一つとんちんかんで、そこがまたギャップがあって面白い。
    だんだん須藤が事件捜査に気持ちが戻っていく様もたどれます。

  • 『ドルチェ』誉田哲也
    元捜査一課の刑事で、今は練馬署の強行班係に勤務する42歳の久江が主人公の短編集。
    練馬署や近隣で起こる事件に、女性捜査官ということで、やや気弱な係長から命じられて事件に関わる。
    久江ならではの感性で、被害者や被疑者の発言に何かのひっかかりを覚えて、事件の真相やその人物の周辺を明らかにしていく。
    捜査一課は殺されてしまった人の事件だけれども、所轄では人を生かす仕事ができるという言葉は響きます。
    以前、一緒に組んだことのある刑事や久江にあこがれて刑事をめざす年下の警官などの登場人物も暖かく描かれています。

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