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投稿コメント一覧 (829コメント)

  • 『おやすみ、東京』吉田篤弘
    夜のタクシー運転手を巡り、展開する連作短篇集。
    不思議な縁がだんだん読み進むに連れつながってきます。
    ちょっぴり変わった人たちも登場してきて、不思議感たっぷりです。

  • 『県警外事課 クルス機関』柏木伸介
    神奈川県警の公安刑事来栖は独自の動きで、いろいろな情報を得ている。
    ある時北朝鮮がテロを計画しているという情報がもたらだれる。
    その一方で、尾崎という日本人に成りすました殺人工作員呉は、近づくミッションに向けて着々と準備を進めていた。
    来栖の情報が次第に核心に近づくとともに決行の日も迫ってきてハラハラしながら読みました。
    このミスの優秀賞受賞の小説です。

  • 『凶犬の眼』柚月裕子
    大上という刑事に鍛えられて、跡を任された日岡は懲罰人事で駐在として田舎にいた。
    用事があって訪ねてきた馴染みの店で見かけた人物が気になり、知り合いの暴力団幹部の席に強引に挨拶に行く。
    それが暴力団幹部を殺害して全国指名手配されている国光という人物。
    国光はやるべきことを残していると話し、日岡は勤務地のそばの建設事務所にいることに目をつぶる。
    暴力団の抗争はわかりにくいのですが、国光という人物が魅力的に描かれています。

  • 『瑕疵借り』松岡圭祐
    家の借り主が自殺、孤独死、事件で亡くなった事故物件。
    その事故物件であること薄めるために不動産を管理する側が、一時期だけ専門の人を住まわせるというのが、タイトルの瑕疵借り。
    最初はぶっきらぼうの主人公は悪の手先かと思っていたら、なくなった人の事情を丁寧に追っていきます。
    1つ1つが奥深くて、涙が出ながら読みました。

  • 『所轄』
    副題は警察アンソロジー。
    それ ぞれの作家のカラーが出ていて、面白かったです。
    主人公や組織の描き方など違いがたのしめました。

  • 『ひと』小野寺史宜
    主人公の聖輔は鳥取から大学生活のため上京してきていたが、高2の時に交通事故で父を亡くしていた。
    冒頭が、前の晩から何も食べていず、揚げ物の匂いに誘われて惣菜店の前に来たものの、財布の中には55円しかなく、あいにく順番を譲ったために唯一50円だったコロッケが売り切れてしまう。
    しかし、店主は順番を譲ってくれたことにおまけしてくれると言い、それが縁でアルバイトとして働き始める。
    いいことがない聖輔であったが、惣菜店の店主や同僚、そして偶然会った高校時代の同級生の女の子、やめてしまった大学の友人との関わりの中で、誠実な人柄が描かれていてホッとする小説でした。

  • 『スキャンダル除染請負人』田中優介
    副題は疑似体験ノベル危機管理です。
    実際に危機管理に関わる会社の経営者が、自分が体験したことをもとに書いているようです。
    企業や病院で起こったトラブル、その対処法を間違えると今のネット社会では炎上したり、大変なことになる。
    そうならないように、アドバイスを与えて対処していくのですが、中には日大アメフト部の問題もこのように対応したら、あそこまで大きなことにならなかったんだろうな、というやってはいけない対応についても書かれていてなるほどと思いました。

  • 『ハッピーエンドにさよならを』歌野晶午
    短編ミステリーなのですが、どちらかというとイヤミスで、読み終わってすっきりではなく、どんでん返しにあ~という感じの話が多かったです。
    それでもいったいどんな結末が待ち構えているのかは気になる展開の短編でした。
    「尊厳、死」という公園に住まいをもつホームレスムラノの話は、最後にそういう落ちかと思わされました。

  • 『俺はエージェント』大沢在昌
    行きつけの居酒屋で知り合ったスパイ映画好きの若者とお年寄り。
    ある日、居酒屋に1本の電話がかかってきたことで、運命は動き始める。
    若者は実は警視庁公安部から、おじいさんを監視するように指令を受けていて、そのおじいさんはエージェントとして活躍していた人物だった。
    実行力はあるが、携帯等は情報漏洩のもとになるからと使わず、5人の仲間を復活させる「コベナント」という指令で、いきなり居酒屋のおかみが村井という若者に拳銃を向け、それを助けるために白川という老人はおかみをあっという間に射殺してしまう。
    時代に取り残されたエージェントと対立する組織、どちらにも死者が出るが、一体この指令が何十年もたって発動されたのはなぜか、物語は展開していきます。

  • 『絶望キャラメル』島田雅彦
    タイトルを見るとどんなストーリーと思いますが、住職として地方都市に戻ってきた放念を中心に、未来を持つ人材を発掘して育てるプロジェクトが始動。
    野球選手、アイドル、微生物の研究者、そしてマネージャー役の4人が活躍。
    うまく行くことばかりではないけど、この出会いによって全く違った道を歩き始めるカルテットは頼もしかったです。

  • 『カットバック』今野敏
    副題は警視庁FCⅡです。
    FCはフィルムコミッションで、警視庁にできた映画等の撮影を安全に行えるように協力する部署をテーマにしています。
    登場するFCの人物たちが、あまり仕で事熱心でない地域総務課の若手や普段は白バイで交通取り締まりをしている機動隊員、交通課の女性やまる暴の刑事など、面白いチームとなっています。
    そして、事件は人気ドラマの20周年記念となる刑事ドラマの映画撮影の現場で起こります。
    捜査一課をしりめに、撮影班の現状をよく知り、近づけることからFCの面々が活躍していくストーリーで、楽しく読めます。

  • 『バルス』楡周平
    この作品は、バブル崩壊後の非正規社員が増えた現状をテーマにしています。
    主人公は有名私大で就職活動に励み、大手の最終面接まで行って最後に決まらなくて、就職浪人をした青年。
    就職が決まらず、スロットという通販会社の倉庫で、注文の商品をセットする派遣社員として働き始める。
    そこは決められた時給で働かされて、ノルマが達成できなければ辞めていくようなところ。
    それでもシングルマザーなどは家から近いということで働いている。
    事情があって、スロットをやめてじきに起きたのが宅配の荷物に仕掛けられた発火物テロ。
    物流が切られたことで、大混乱が生じ、また、宅配が命の通販であるスロットも注文を受けられずに、派遣を介助する事態に。
    この小説を読みながら、いろいろなことが信頼をもとに動いている社会であることを思い知らされます。

  • 『姫路・城崎温泉殺人怪道』梓林太郎
    副題は私立探偵・小仏太郎です。
    元は警視庁の刑事だった私立探偵の事務所にはイソという社員がいるが、小仏のこのイソに対し方はずいぶん邪険に扱っています。
    その小仏のもとに兵庫選出の議員の認知はしていない娘が家に帰ってこないのを、警察ではなく、探ってほしいという依頼が警視庁の知り合いから入る。
    どうやら高校生の少女は2人の男性の知り合いがいるらしいことをつかんだのだが、間もなくその男性の1人が殺されていたことがわかる。
    姫路、竹田、城崎温泉を行ったり来たりしながら、事件の真相に近づいていきます。
    城崎温泉に出かけてみたくなるような描写でした。

  • 『海泡』樋口有介
    舞台は東京都とはいえ、本土からは遠く離れた小笠原の父島。
    大学進学で東京へ出て、2年ぶりに島に戻ってきた主人公の洋介。
    親友は漁師となって働き、同級生の1人は不治の病が進行している。
    戻ってきて間もなく、同じ同級生で島に帰ってきていた女性が崖から落ちて亡くなる。
    事件性はなしとのことで、捜査の人は引き上げるが、さらに殺人が起きる。
    狭い島での人間関係、父島の自然の中で、何が起きたのかが次第に明らかにされていきます。

  • 『雨に泣いている』真山仁
    阪神大震災の時に新人で記者として現地で取材をした主人公。
    38歳になって、東日本大震災のキャップを自ら志願する。
    普段は前向きの明るい後輩まで、厳しい現実の前にホテルから出られなくなってしまうような現場の状況も丁寧に描かれています。
    そんな未曾有の災害の中で、新人記者が取材先の寺で行方不明となり、その捜索を依頼されて、話を聞くことで明らかになってきた事実。
    災害と報道の両方が絡まって迫真の小説となっています。

  • 『ナイルパーチの女子会』柚木麻子
    父がかつていた商社でバリバリに働く、美人で仕事ができる栄利子。
    その栄利子が楽しみにしていたのが、主婦のブログながら、他の人のようにがつがつしゃきしゃきしていない、無理をしない生活を素直に綴っている翔子。
    2人は意外に近くに住んでいることがわかり、初めて会った時にはお互いいい友人ができたかと思ったが、2人ともがなぜか女友達がいないタイプ。
    2人の関係はねじれ、会社の皆に可愛がられ、女友達が多い、真織という後輩もまた、別の意味で強力なキャラクター。
    それぞれの家庭のことも明らかになり、なんとも重くなっていってどうなるのかと思いながらも、気になって読みました。

  • 『刑事の怒り』薬丸岳
    警視庁の夏目刑事の短編、中編。
    夏目は自分の幼い娘が襲われて何年も意識不明で、やっと最近意識をとりもどしたというところ。
    それでも、犯罪者へのまなざしは、あくまでも何が起きたのかを冷静に見つめようとする。
    最初の一篇は、転勤寸前で起きた年金詐取の事件かと思われたが、亡くなった親をスーツケースに入れて身近においていた娘の、そんなことをした理由を丁寧に追っていきます。

  • 『暗い穴』堂場瞬一
    警視庁追跡捜査係の2015年の作品です。
    傷害で逮捕された男性が、突然死体遺棄についての自供をしたという報があり、西川刑事がその取り調べに当たる。
    しかし、相澤というその男は、言われた場所から実際に女性の遺体が発見され、さらに近くからもう1体の遺体が発見されたのにもかかわらず、その後はだんまりで語ろうとしない。
    呪いを恐れている、ということがわかってくるが、一体どういうことなのか?
    追跡捜査係の面々が精力的な捜査を進める中で、亡くなった女性の周囲から人物が浮かびあがってくる。
    理性的な西川刑事が翻弄されるだけあって、一筋縄ではいかない犯人が現れてきます。
    読み終わってスキッとしない感じが残ります。

  • 『凍りのくじら』辻村深月
    主人公は女子高生なのですが、父は娘がまだ子どもだった時にがんを患い、ある日突然失踪してしまっていた。
    そして、母も病気のために入院中。
    父が大好きだった藤子F富士雄とドラえもん。
    SFを少しだけ○○という言葉にあてはめて、自分の周囲の人を評していて、自分はどこにもいどころがない「少しだけ不在」と。
    その理帆子の周囲の人物とのあれこれを描いていく中で、事件が起きる。
    最後は、涙がじわじわ流れてきます。

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